2005.8月 モンキー・ツーリング (しまなみ海道)
呉の「大和ミュージアム」には以前から行ってみたかった。
10分の1の「大和」の模型があり、「零戦62型」、人間魚雷「回天」などが展示されている。
しかし、家族を連れて行っても僕しか楽しめない場所だ。
それならバイク・ツーリングで行こうか・・・。
ついでに、尾道にある実物大の「大和」も見てこよう。
尾道まで行くなら、そのまま「しまなみ海道」を渡り、四国に上陸しよう。
「しまなみ海道」を渡るなら、大型バイクよりミニバイクの方が、のんびり楽しいだろう。
ミニバイクなら、皆がビックリするくらいのミニバイクを・・・。
そして、このツーリングの相棒に選ばれたバイクは、モンキー。
8月10日 モンキー・ツーリング第1日目
尾道までの距離は、約300km。時速40kmのペースで計算すれば、単純に7.5時間。
「大和ミュージアム」での見学時間などを考えれば、スタートは早い方が良い。
早朝4時に起き、身支度を整え、まだ薄暗い中を出発する。
今回のツーリングは、距離もある。しかもバイクは75ccにボア・アップしているとはいえ、モンキー。
それだけでも、かなり冒険だと思うが・・・もう一つ、キャンプ・ツーリングときている。
荷物も、テント、寝袋、マット、コンロ、ランタン、クッカー、着替えと満載。
コンパクトにまとめて、前に後ろに積載してのツーリングだ。
ミニバイクでも立派にツーリングが楽しめる事を、証明しよう。
荷物が途中落ちない事を確認しながら、若松と戸畑を結ぶ「若戸大橋」を50円で渡る。
そのあと、国道199号線と3号線を進み、「関門トンネル」にたどり着く。
「関門トンネル」は、歩行者、自転車、原付(白ナンバー)は側道を進む。
僕のモンキーは、75ccにボア・アップしているので、黄色ナンバー。
サイズは小さいが、車両と一緒にトンネルを走れるのだ。
料金所で、排気量75ccと申請し20円を払ってトンネルを進む。
トンネル入り口から、緩やかな下り坂を60km/時で車と一緒に走る。
下り坂が終わると、今度は緩やかな上り坂。
排気量アップはしているが、スピードが落ちていく。
狭いトンネルの中で、後続の車たちから何度も追い越され、少し怖い思いをしながらトンネルを抜ける。
トンネルを抜けたら、国道2号線をひたすらエンジン全開で走る。(といっても60km/時だが・・・)
それにしても、良く走る。
時々、こんなにエンジン全開で壊れないのだろうか・・・と思うが、ここで距離を稼がないと・・・とも思う。
何も考えずに、国道2号線を進めば、呉、尾道と行くだろうと思っていた。
しかし、途中自動車専用道なるものが2箇所あり、125cc以下の二輪は走れなくなっていた。
これは大きな誤算。2号線から脇道に入り地図を確認しながら、国道に大きくはずれないように、進む。
岩国まで来た時、「錦帯橋」の看板が目に入った。
此処に寄るつもりは無かったが、「錦帯橋」をバックにモンキーの写真を撮っておくのも良いか・・・と思い2号線から右にそれる。
まだ時間も早いせいか、観光客も少ない。
とりあえず、2〜3枚の写真を撮った後すぐに元の2号線に戻る。
ここから2号線は、海に突き出る。そして今度は瀬戸内海を右に眺めながら、海岸線を走る。
そして、「宮島」の看板が多く立ち並んできた。
そう、右に見える大きな島が「宮島」だ。あの「厳島神社」のある宮島だ。
フェリーで渡れば、鹿も見られるだろう。しかし宮島にまで寄る時間的余裕は無い。このまま、広島を目指す。
広島に入ったら、マツダの看板が気になる。走っている車は、本当にマツダ車が多いのか気になる。
そう、ここはマツダの街。
広島を抜け、国道2号線から31号線に進み、呉を目指す。
相変わらず、海岸線の道。
目指す「大和ミュージアム」に着いたのは昼頃だった。
予定より1時間遅れか・・・。
さっそく駐輪場にバイクを停め、貴重品とカメラを持って中に入る。
さすが、NHKの「その時歴史が動いた」でも紹介された場所。人も多い。
入館料を払い、まずは10分の1の大和を・・・。
大きな模型の大和。子供の頃に作ったプラモデルと同じ。
当時、最高の技術で作られ、不沈艦と言われた戦艦。
しかし活躍の場は、既に航空機と空母に取られ、最後は沖縄特攻作戦に出撃し、アメリカ軍航空機によって沈められた悲劇の戦艦。
館内では大和の技術が、現在もあらゆる分野に使われている事も紹介されている。
その後、零戦が目に入って来た。
零戦は、真珠湾攻撃で使われた21型から始まり、終戦まで改良され続けた日本海軍の名戦闘機。
此処に展示されている零戦は、終戦末期に造られた62型。
エンジンは1000馬力級の小型戦闘機だが、大きな機体を写真に撮るのは大変だった。
特攻兵器の人間魚雷「回天」は、思ったより小さい物で、魚雷の後ろに人間が一人寝そべって乗れるだけの物でした。
回天の展示物の所には、これに乗って特攻した一人の兵士の肉声の遺言が聞けるようになっていました。
彼らは、自分達の特攻が、日本の将来に大きな意味があると、意味があって欲しいと、願って行ったと思います。
今僕達の日本は、彼らの礎によってあると思いました。彼らの短い人生を思うと、もっと、もっとと自分の人生を生きねばと思います。
拝観して、お土産を見に行きましたが、荷物になる物は買えません。
結局、キーホルダーを買って外に出ました。すると、すごい雨・・・。
しまった!雨具の用意はしていない。時間も予定より・・・雨宿りしている暇は無い。
目の前の、スーパー・ジャスコに雨具を買いに行く。
お腹も空いていたので、軽く食事もしようかな・・・しかし、昼をとっくに過ぎているのに、レストランは全て行列。
食べるのは諦めて、ビニール・カッパを1000円で購入。大型ビニール袋も買って尾道に向け出発する。
呉から尾道まで、広島県内の移動。しかし、地図で見るとかなり遠い。
海岸線の国道185号線をひたすら全開で走る。
はたして、暗くならないうちにキャンプ場にたどり着けるのだろうか・・・不安の中走る。
尾道にたどり着いたのは、夕方5時前。
尾道駅前から尾道水道を挟んで、目の前に巨大戦艦「大和」が見えた。
なんとか、大和をバックに写真を撮りたいが、モンキーの車体があまりにも小さすぎて上手く撮れない。
残念だ。
しばらく、大和を眺めた後、尾道水道を渡船で渡る事にする。
先まで走れば尾道大橋と言う立派な橋が架かってはいるが、あえて、大人100円、バイク20円を払って渡船で渡る。
この金額で、旅情を味わえれば安いものだ。
渡船に乗って10分くらいすると、対岸の向島に渡れる。
渡船乗り場を降りると、すぐに「男たちの大和」ロケセットの一般公開に入れるようになっている。
予定では、ここも立ち寄るつもりだった。しかし、時間は夕方5時を過ぎ、今日の寝床を確保する事が先決。
泣く泣く、通り過ぎてキャンプ場のある因島に向かうことにする。
向島から因島へは、しまなみ海道「因島大橋」を渡る。
通行料は50円。しまなみ海道では唯一、自動車道の下を走る橋だ。
自動車道の下を走るので、夕方暗くなっている事もあり、橋からの景色は、あまり楽しめない道でした。
橋を渡り終え、キャンプ場を目指して走る。
幸い、キャンプ場の案内板がすぐに見つかり、案内に従い進む。
6時にたどり着いたキャンプ場は、「大浜崎キャンプ場」。
受付で1000円を払い、テントサイトにバイクを入れ、テントを設営する。
この時、雨もひどく降っており、炊事場の屋根を借りてテントを組み立て、出来上がったテントを頭に担いで、設営しました。
昼を食べずに走ってきたので、お腹はペコペコ。
しかし、家から持ってきた食料は、米1合のみ。途中、買出しをせずに走って来て、今またこれから雨の中を買出しに行くのも・・・。
仕方が無い、今日は我慢しよう。
おかずが無ければ、お粥にして食べよう。
米をとぎ、クッカーに多めの水を入れ、ストーブに火をつける。
米が炊ける良い匂い。しかし、ちょっと目を離した隙に、多めに入れておいた水が吹きこぼれ、ちょうど良い御飯が炊きあがりました。
うーん、失敗なのか成功なのか?
とりあえず、口に御飯を運ぶ。「美味い!」空腹は、ただの御飯を美味しくさせる。
しかし、さすがに5〜6口目には飽きてきた。
その時、思い出した。前の晩に、娘が持たせてくれた「チーズ鱈」を・・・。
たしか、タンクバックに入れておいた筈・・・あった、あった!「チーズ鱈」。
今度は、「チーズ鱈」をおかずにして食べる。ちょうど良い塩味。御飯がすすむ。
おっと、明日の分を取っておかねば・・・ほんの少し残して、今晩のディナーは終わりました。
キャンプ場での時間は、ゆっくりと流れる。まして、一人でのキャンプはなおさらだ。
今日一日のツーリングを振り返るには十分な時間。酒が飲めれば、なお楽しい物だろう。
僕は、自動販売機で買った、冷たいポカリスエットを口にしながら、明日の予定を立て、眠りについた。
8月11日 モンキー・ツーリング第2日目
朝7時ごろに目が覚めた。昨日まで降っていた雨はすっかり上がり、天気は良いようだ。
まずは、腹ごしらえ。
昨日残した御飯に水を足し、たった一つしかない「ちょっと雑炊」を一緒に入れストーブで温める。
少しの御飯を雑炊にして、量を増やす計算だったが・・・ズルズルと一気に腹の中に収まってしまった。
それから、濡れたテントを雑巾で拭き、軽く乾かした後手際よくたたむ。
どうせ、家に帰ってから干せば良い。適当、適当・・・。
持って来た荷物を、昨日と同じようにモンキーに積載し出発する。
まずは、因島にある水軍城に行く。
ここは、日本で唯一の水軍城とのこと。310円で入場できるのだが、朝が早かった為、まだ閉まっていました。
仕方が無いので、写真だけ撮って、先に進む事にしました。
因島から生口島に渡る為、しまなみ海道「生口橋」に進む。
「生口橋」は50円を払い渡る事が出来る。
昨日の「因島大橋」と違い、自動車道と平行して進む橋は、橋の上からの景色も最高!
今回初めて、ミニバイクで橋を渡る楽しさを、味わいました。
生口島に渡ったら、県道81号線を進み、「平山郁夫美術館」に行く。
ここは、現在日本を代表する画家、平山郁夫の今日までの偉業を余すところ無く紹介する美術館。
新作の展示の他に生い立ちや少年時代の絵画さらにスケッチや下絵などを展示している所だそうです。
しかし、僕は絵には全く興味が無いので、入り口で写真を撮って、拝観せずに先に進みました。
そして、次の橋は、「多々羅大橋」通行料100円。
この橋は、世界最長の斜張橋だそうです。
橋を渡ってすぐの「道の駅
キャンプ場で食べた雑炊は、完全に消化されており、すでにお腹ペコペコ。
二日ぶりに、まともな食事を・・・新鮮な魚料理を・・・と思い入ったのですが、メニューはモーニングしかありませんでした。
昼まで我慢すれば・・・と一瞬思いましたが、空腹には勝てず、ホットケーキのセットを注文。
とりあえず今回のツーリングで初めて、まともな食事にありつくことが出来ました。
空腹が満たされたら再び出発。
「大山祗神社」の前を通り、島を半周して次の橋「大三島橋」に進む。
じつは、帰ってから調べたら、「大山祇神社」は全国の大山祇神社、三島神社の総本山。武人と海の守り神として歴代の朝廷や武将から厚く信仰されていたため、戦勝祈願や御礼で奉納された武具数万点が、現在も宝物館に収納されている。
国宝・重要文化財指定の武具は全国の8割がここにあった事がわかり、参拝して、宝仏殿を拝観しておけば良かったと思いました。
「大三島橋」は本四道路で最初に完成した橋だそうだ。通行料50円を払い伯方島に渡る。
渡るとすぐ、「道の駅 伯方S・Cパーク」に入る。
ここは、目の前がビーチになっている道の駅で、家族連れでいっぱいだった。
伯方島は、塩で有名なところなのか、「伯方の塩」が所々売られていた。
道の駅で売られていたソフトクリームも「塩ソフト」というものがあった。
塩味のソフト・・・どんな物だろう?興味本位に食べてみた。(味は・・・???)
ソフトクリームを食べ終わったあと、次の橋「伯方・大島大橋」を渡る。通行料50円。
この橋の途中に「見近島」があり、橋の途中から降りられるようになっている。
キャンプ場もあり、一人用テントが二つ張ってあった。たぶん、ここを拠点にしてツーリングしているのだろうか・・・。
橋を渡り終えて、大島に入り、「村上水軍博物館」に行く。
ここは、南北朝から戦国時代にかけて、瀬戸内海を支配した村上水軍の歴史、武器、水軍戦法などが展示されている。
ちょうど今観ているHNKの「義経」にも、水軍は出てくる。村上水軍は、まだまだ後の時代に登場してきたのだろうが、水軍の船や武器には興味を惹かれました。
博物館を後にして、「亀老山展望台」に向かいました。
ここは、大島の南端標高308mに位置する展望台で、「来島海峡」とそこに架かる「来島海峡大橋」が一望できる場所。
橋の上からの景色も良いが、橋を上から見る景色も絶景でした。
展望台から、下り高速コーナーをモンキーで走りぬけ、「道の駅 よしうみいきいき館」に行く。
ここで、今回のツーリング初の豪華な食事にありつく。
新鮮な魚を使った、刺身、天ぷらの海鮮定食を注文。
美味しく頂きました。
満腹になったら、最後の橋「来島海峡大橋」通行料200円で渡る事にする。
この橋は、全長4105m、世界初の三連吊橋である。
しまなみ海道最後の橋を、ゆっくりゆっくり景色を楽しみながら走りました。
橋を渡ると、すぐ「糸山公園」というのがあり、ここからは今渡ってきた来島海峡大橋を望めるようになっている。
そして、「しまなみ海道」を全てモンキーで渡って来た・・・と思うのだ。
四国に上陸し、
今治には「今治城」がある。
この城は、戦国時代の信長、秀吉、家康に従い、時代を生き抜いた「藤堂高虎」が1604年に築いた城。
全国的にもめずらしい堀に海水を引き込んだ海岸平城。
300円を払って、拝観もしてきました。
今治城を見学した後、国道317号線で松山の「道後温泉」に行く。
やはり行くなら、“坊ちゃんの湯”で有名な「道後温泉本館」でしょう。
入浴券を400円で買い、改札口を通って一階の神の湯に入りました。
2日間の汗と埃を、少し熱めのお湯で洗い流し、そしてお湯に浸かり、気持ち良い!
温泉から上がり、道後温泉駅まで行くと、「坊ちゃん列車」があり、「道後商店街」入り口には、「坊ちゃんカラクリ時計」「足湯」があった。
それぞれ、写真を撮って、旅の最後の思い出にした後、
松山港からは、21時55分発の小倉行きフェリーに乗り、目が覚めたら小倉港に着いていた。
こうして、モンキー・キャンプツーリングは無事に終わった。
振り返れば、初日は、薄暗い中から出発し・・・そして、朝日を受けながらの2号線を走り・・・呉から因島までは、時々雨に降られながら走った。
キャンプ場では、雨の中でテントを設営し・・・そして御飯だけの極貧キャンプだった。
翌日は、終始天気に恵まれた中で「しまなみ海道」を走破・・・島々の道は、とても走りやすく、全てがミニバイク故の全線ファーム・ロードだった。
モンキーは、小さい車体と小さいエンジンで、俺に沢山の感動を与えてくれた。
そう、このツーリングにコイツを選んで良かった。
車体の大きさに反比例して、俺に沢山の感動を与えてくれた。本当に、コイツを相棒に選んで良かった。
by 桑っちょ
走行距離:539km
燃費 :46km/L
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