2006.1.22 プレジャー・ツーリング 太良町

 

太良町。そこは、この時期“牡蠣”で有名な場所だ。

去年も、このツーリングを企画した。

しかし、当日に降った雨は、俺たちのツーリングを中止させた。

その後、時期も終わり、あの牡蠣は、おあずけとなっていた。

そして、「今年こそは」…メンバーの牡蠣に対する熱い思いが、天に届いたのか、晴天に恵まれたツーリングとなった。

このレポートは、男たちの、牡蠣に対する熱い思いを綴った壮大なドラマです。

 

プロジェクト KAKI

 

プロジェクト・メンバー

瀬戸口さん:スズキ 隼           尾上さん :カワサキ ZX12R

花田さん :カワサキ ZRX1200    西本さん :カワサキ ZRX1200S

オスギさん:BMW R1150R      しげさん :カワサキ GPZ900R

板谷さん :ホンダ VTR1000     末廣さん :BMW R1100R

タムキン :ホンダ NSR250      中西さん :ドゥカティ 800SS

井上さん :スズキ 400イナズマ     ヨッシー :ヤマハ XJ900

八木さん :BMW R1150GS     桑っちょ :カワサキ GPZ900R

 

“牡蠣食いツーリング”それは、二年越しの夢のツーリング。

「今年こそ、食ってやる」皆が、そう思っていた。

周到なる準備の末、決行日は1月22日と決まり、挑むメンバーは14名と膨れ上がっていた。

 

早朝、目が覚めると、外に霧雨が降っている。

すぐに、TVのスイッチを入れ、天気予報を確認。

朝方、雨の降る所はあるが、“曇りのち晴れ”となっている。

不安を抱えたメンバー数名から、確認のTELが入るが、「計画の変更無し」を伝える。

俺も、カイロなどの防寒対策を完璧に行い、愛車カタナのエンジンをかけ、集合場所に向かう。


則松の集合場所には、すでに4〜5名が、待っていた。

今回は、集合場所を2箇所設置。

全員が集まるのは“九州自動車道 基山PA”だ。

則松からスタートするのは、8名の熱い男たち。

8名全員が揃ったところで、ツーリングが始まった。

しかし、この時点では、すぐに“あんな事”が起こるとは、誰も思っていなかったのだ。

 

R3を8台のバイクが、快調に走り抜けていく。

今日も、カタナは絶好調。

俺は、バイクを走らせながら、牡蠣を貪り食うメンバーと自分を、頭の中で思い浮かべていた。

87さんは、車の巻上げにより、シールドが見えにくいよう。グローブでシールドを拭いながら走る。

板谷さんは、前回のツーリングでは、大型バイク初のツーリングのせいか、車に追い抜かれていましたけど…

今日は、綺麗に車をパスして行く。彼の成長が窺えました。

8人のプロジェクト・メンバーは、古賀IC入り口で、休憩。

基山PAの集合時間にも、まだまだ余裕がありました。

それにしても、朝方降っていた雨は、すっかり止んで、今日は良い天気に恵まれそうです。


休憩後、それぞれヘルメットをかぶり、バイクに跨り、料金所をくぐり抜けていきます。(一人を除いて…)

そう、その一人が俺です。

なんと、これまで快調に走っていたカタナのエンジンがかかりません。

キーを差し込み、ONにしても、電圧が弱いのか、セルが回らない。

バッテリーが原因なのか、ヒューズなのか?

しかし、まともな工具を積んでいない為、見ることも出来ない。

「もう、ダメだ」「ロードサービスを呼ぶしかない」目の前を、牡蠣がぐるぐると回る。

一旦は、料金所を通り抜けて行ったメンバーが、心配して戻って来てくれた。

押しがけを試みるが、アイドリングが安定しない。

最悪の状態になっている。

決断の時が来た。

「皆、先に行ってくれ!」「後から、追いかける!」そう言いながらも、心の中では、もう無理だと思っていた。

俺は、基山で待つメンバーの名前を書いた紙と、デジカメをオスギに渡し、気遣ってくれる仲間達を見送った。

そして、仲間達の走り去る排気音が、遠く消え去っていった。

テキスト ボックス: その頃、本隊は計画どおり…
基山PA集合
 
 
 
もう行くんかい!
 
メッチャ楽しそう

もう、牡蠣小屋じゃないか!

 

ここから、一人取り残された俺の戦いが始まった。

時間は9時。

まだ、バイク屋は開いていない。もちろん、ロードサービスも無理だ。

ならば…もう一度、押しがけを試みよう。

カタナのギヤを1速にして、クラッチを握ったまま、押して行く。

スピードがのったところで、クラッチを繋ぐ。

エンジンがかかるが、アイドリングは安定しない。そして、すぐに止まる。

もう一度…今度は、アイドリングが安定して、スロットルを回すと綺麗に吹け上がる。

「やった!走れる」

しかし、ヘルメットを被っている間に、またまたエンジンは切れた。

今度は、ヘルメットも被り、グローブもして、すぐに乗れるような状態でやってみた。

アイドリングは安定しており、回転を落とさないようにバイクに跨り、一旦引き返す事にする。

 

カタナは、走っていると、快調なのだ。

「これなら、行けるか!」「よし、R3を福岡方面に走り、福岡ICから追いかけよう」そう思い、

R3まで走る。

R3に出て、信号待ち。すると、エンジンが切れた。

慌てて、路肩に寄せ、歩道で押しがけする。

エンジンがかかり、跨って信号待ちをする。

すると、またまたストンとエンジンが切れる。

「こりゃ、ダメだ!」カタナでのツーリングをここで断念する。

進むべき方向を、福岡とは逆方向の北九州方面にとる。

信号に合わせて、押しがけを行い、すばやく走り出す。

「もう、押しがけは勘弁してほしい」心の中で叫ぶ。

それにしても、走っている時は、全く問題ない。

「信号待ちが、問題なのだ」俺の結論は、こうなった。

それなら、やるべき事はただ一つ。信号待ちでも、

エンジンを2500回転以下にさせない。

しかし、これは以外に難しい。

止まってしまえば、アクセルを捻るだけなのだが…“減速中でも”となるとアクセルを捻りながら、ブレーキを掛けながら…。

普段とは、格段に忙しい操作だ。

減速しながら、少し早めにクラッチを切り、エンジンを吹かしながら、ブレーキング。

一度、リヤタイヤがロックして、濡れた路面をバイクが流れ出す。

慌てて、フロントブレーキを握る為にアクセルを緩めると、エンジンストップ。

しかし、エンジンが切れた事は、この際どうでもいい。

目の前に迫る、白いシビックを回避せねば…。

なんとか、バイクの姿勢を取り戻し、シビックの脇をすり抜ける。

カタナは、エンジンが切れたまま惰力で走っている。

そして、再びクラッチを繋げ、エンジン始動。

危なく、シビックに追突しそうになり、ツーリングネタを2個も提供するところでした。

それからは、慎重に慎重を重ね、バイク屋まで辿りつく。

 

バイク屋に着くと、ツーリングに行っている筈の俺が来たから、スタッフはビックリした様子。

カタナの症状を説明し、預ける事になる。

その間に、気の利くスタッフが、奥からタイヤ交換でドッグ入りしていたニンジャを出してきて、

アイドリングをしている。

まるで、サーキットのピットクルーのように…。

用意されたニンジャを見たら、一度は諦めた牡蠣が、目の前に再び浮かんできた。

「行ってやる!」「必ず、牡蠣を食べてやる!」熱い思いが蘇る。

 

バイク屋を出て、ここから一人のツーリングが始まった。

高速の八幡ICを目指して走る。

途中、スタンドで給油し、八幡ICからブッ飛ばす。

(タイヤが新品な為、いつもより20km/hr早めにビビリッターを効かして…)

「もう、あいつらは高速を降りて、太良町に向かっているだろうな〜」

「俺が着く頃には、皆食い終わっていないだろうか〜」などと考えながら、ひたすら高速を走る。

結局、スタンドで給油した以外は、太良町までひたすら走り、牡蠣小屋が並ぶ景色が目に入った時に、携帯でタムキンに連絡をする。

「R207沿いに、俺たちのバイクが並んでいるから、すぐ分かるよ!」

「間に合った!まだ奴らは食っている」

しばらく走ると、見慣れたバイクがずらり並んでいる。

俺も、その列にニンジャを並べ、牡蠣小屋に入る。

席に座るなり、末廣さんが、食べやすく開いて差し出してくれた牡蠣。

「旨い!」「追いかけてきて良かった!」と思う瞬間でした。

そして、牡蠣を2〜3個食べたら、今度はバイク屋さんから電話が…。

まるで、俺にGPSでも付けていたかのようなタイミングで…無事に合流出来たかどうかの、

確認の電話でした。

新鮮な、牡蠣、ホタテ、海老、イカの他、ウインナー、肉、トウモロコシを、お腹いっぱいに

なるまで堪能した後、不思議な会計を済まし、店を出る。(安い!一人1500円だった)

 


さて、ここからは全員揃ってのツーリング。

俺にとっては、ソロツーリングからマスツーリングに変わった瞬間です。

皆、エンジンをかけ、スタートする。

しかし、一人だけエンジンがかからない奴がいる。(今度は、誰だー!)それは、板谷さんです。

彼も、バッテリーが問題なのか?ヒューズが切れたのか?しかし、問題は非常に簡単なものでした。

なんと、キルスイッチが入っていたのです。(これじゃー、絶対にエンジンはかかりませんよねー)


帰りは、R207を北上し、R34,R263と、進みます。

「初めてのツーリング」だと言っていた、400イナズマを操る井上くんも、大型バイクにしっかりついて行きます。

初参加のBMW R1150GSを操る八木さん、ヤマハXJ900を操るヨッシーさんは、ベテランライダーの風格で、僕の視界からは一瞬に消えて無くなりました。

 

“道の駅 大和”で休憩。

温かい缶コーヒーなどで、暖をとる奴もいれば、ソフトクリームを食べるチャレンジャーもいる。

14人が、いろいろなキャラを出して、バイク談義が始まった。

(キルスイッチでネタにされた板谷さん。気を悪くしないで、また参加してね!)


さて、ここからは“三瀬越え”です。

三瀬方面から走ってくる、白と黒のパトカーは、スタッドレスを履いているようで、ゴロゴロ音をたてて走ってきます。

(なんか、嫌な感じー)

軽いワインディングを走りながら、標高は徐々に高くなっていきます。

すると、路面が白くなっている。(これは、もしかして塩カリ…調子にのって走ると滑るぞ!)

そして、更に進むと…出たー!“残雪”。

路肩にあった雪を見た途端に、僕のビビリッターは急作動。

慎重に、慎重に下りのコーナーをクリアーして行きました。

(後で聞いたら、タムキンと井上さんは、塩カリで少しバイクを滑らせたようでした)


R263は西新に近づくにしたがって、渋滞になり、メンバーは車の脇をすり抜けながら進みます。

西新に入り、都市高速手前で休憩。

福岡都市高速を使うか、R3を進むか、話し合いが始まった。

その時、メンバーの一人、しげさんが言った。

「高速を使っても、時間はあんまり変わらないよ!」

そして、決断の時が来た。

「よし、下道で進もう。料金所を通るのも面倒だ!」

メンバーは、それぞれの愛車に跨り、出発した。

R3に出ると、車が渋滞している。

片側3車線の北九州に続くR3。メンバーは、右に左にバイクを走らせ、車をパスしていく。

やはり、“3号線キング”の称号を持つしげさんは速い。あっと言う間に、消えて行ってしまいました。

途中、貝塚でXJ900ヨッシーさん、宗像で400イナズマの井上さんと、遠賀でR1100R末廣さんと別れ、レッドバロン八幡で解散となりました。

 

今回のツーリングは、思わぬトラブルが発生し、一時は諦めもしましたが、なんとかメンバーと合流。

二年越しのプロジェクトを、皆と共に達成出来、本当に良かったと思います。

これは、14人の男たちが、牡蠣に対する熱い思いを胸に走った、伝説のツーリングです。

 

プロジェクト KAKI

by 桑っちょ


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